【書評】「amazon」誰もが関わる帝国の実態

テクノロジーによる生活の変化

このところテクノロジー、特にAIが注目される機会が特に多くなったように感じます。

テレビのニュースしかり、雑誌や書籍しかり。

 

個人的にも小さい頃ロボットや空飛ぶ乗り物なんかに憧れを持っていたことを思い出します。

確かに子供の頃思い描いていたような未来には進んでいないかもしれませんが、しかしこのテクノロジーによる生活の変化というのはある種それ以上のものがあるのかもしれません。

 

 

amazon 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

 

 amazonー巨大帝国はいかにして生まれたか

その生活の変化の正に一番手を担ってるのが、本書でクローズアップされているアマゾンであることに疑問を持つ人は少ないのではないでしょうか。

思えば私がその存在を知ったのは中学生の頃、インターネットの普及が今ほどされていない時代には「そんなことをしてる企業もあるんだー」といった印象でした。

しかし、今となっては私も立派なアマゾンユーザー、多くの日本人、そして世界中の人々にとってなくてはならない存在にまでなっています。

そんなアマゾンという企業がいかにして生まれたか、またこの企業の行く末に人々にどんな未来が待っているのかを本書では丁寧に描かれています。

 

著者の成毛氏は若い頃にマイクロソフト日本法人の代表を勤められた正にIT業界の実力者。

その方が語るamazonの脅威には説得力が詰め込まれています。

 

同じIT企業として知られるアップル、グーグル、フェイスブックとともにその頭文字をとって題された「the four GAFA」(著:スコット・ギャロウェイ)ではこれらプラットフォームとなった企業たちがもたらす脅威を描かれており、こちらも世界に何が起こっているのかというのを知る上で非常に興味深い内容でした。

しかし、本書でも書かれている通りアマゾンはその中でも一目置かれる存在であるのではないでしょうか。

 

アップルに続いて史上二番目の時価総額1兆ドルを達成したアマゾンが今後どうなっていくのか。

誰もが注目するこの企業について、「この一社さえ知ればいい」とする本書の帯の文句に正に偽り無しだと読み終わって感じます。

 

赤字でも成長し続ける帝国

上述した通り本書ではアマゾンがこれまで取り組んできた事業について分かりやすく解説がされています。

当然メインとなるeコマース事業については小売業界が縮小していく中での圧倒的な成長率とそれを果たした要因について。

その他いまやアマゾンの利益を生み出す基盤となっているクラウド事業AWS、動画コンテンツなどを手掛けるアマゾンプライム、物流網を確保し実際に顧客まで届ける配送業、実店舗を持ち簡潔に支払いまで済ませる「Amazon Go」etc...

このようにアマゾンはその成長力を背景にありとあらゆる事業を手掛ける企業になっていることを本書を読んで改めて痛感させられます。

 

こうした巨大企業となったアマゾンについて、CEOのベゾス氏はアマゾンは「ロジスティクス企業」であると述べております。

ロジスティクスとは日本語では兵站である。兵站とは、戦場で軍の活動を維持するために必要な軍需品や兵のことであり、これらを前線に送るためのルートを確保すること、つまり物流網を持つことだ。ー中略ー国家の枠を超えた超国家的存在になり、いまだに膨張を続けるアマゾンは21世紀のローマ帝国といえるかもしれない。ネット通販もクラウドサービスもAIスピーカーもすべてのITという道はアマゾンに通じているのだ。ーamazonより抜粋

キャッシュフロー経営という独自の理論に基づき利益度外視に成長を続ける、このアマゾンの有り様は正に帝国と呼ぶのにふさわしいかと思います。

物量に基づき他を圧倒し、様々なビジネスにチャレンジし続ける、そのあまりに独特な経営手法に感心するとともに多くの業界が奪われるのではないかという末恐ろしさも同時に感じます。

アマゾンが本気になればどんな業界でもその物量の前にひれ伏してしまいかねない…もしかしたらそんな未来が日本社会にも訪れるのではないかと思わされます。

 

アマゾンがもたらす未来の世界

本書ではアマゾンのこれまでの凄まじい成長の軌跡とともに、今後のアマゾンがもたらすであろう世の中についても書いております。

中には空中倉庫を活用してのドローン配送についてなど、夢物語に感じられる内容ですらこれまでのアマゾンが実現してきた世界を見渡すと信じさせられてしまいます。

 

奇しくも19日のネット記事で、ベゾス氏がアマゾン社員に対して「いつかアマゾンは潰れる」と発言していたことがわかりました。

時代の変化、テクノロジーの進歩からこれからも第2、第3のアマゾンが生まれてくる可能性も否定できません。

それを理解し、危機感を持ちながら新たなビジネスにチャレンジし続ける、それこそがアマゾンを巨大帝国とした原動力となるのかもしれません。

 

私も一個人ながら、あらゆる環境が変化し続ける現代において成長を続ける必要性があるとアマゾンのことを学びながら感じました。

それではまたの日に。

 

【書評】「日本再興戦略」で日本と自らを省みる

本を通じて人生について考える

突然ですが皆さんは書籍からどれくらい普段影響を受けていらっしゃいますでしょうか?

私は物凄く影響されやすいです。自信満々

 

読書の楽しみの一つは知らないことや知らない世界、新しい考え方に気軽に触れられることにあると思います。

確かにインターネットも発達して自分で情報の取捨選択も簡単に出来る時代。

しかし、その情報量や、思いがけない新しい世界に触れられるという意味で本や書店は今後も縮小はしてもなくならないのではないかと思います。

 

そんな影響されやすい私が今回読んだのがこちらの書籍。

 

 

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

 

 日本再興戦略ー日本の未来の考え方

というわけで落合陽一氏の「日本再興戦略」を今更ながら読んで非常に感じる部分があったので書き連ねる次第であります。

この本、以前より買ったままなかなか読めてなかった(失礼)のですが、読んでみて改めて考えさせられることの多い内容となってました。

 

メディアでも見る機会の多い落合陽一氏をご存知の方は多いかと思います。

研究者、経営者、メディアアーティストなど非常に多くの顔を持ち、様々な分野の第一線で活躍されているため注目度も非常に高いです。

以前に堀江貴文氏と共著の「10年後の仕事図鑑」を読み働き方について考えさせられたため(こちらも非常に面白かったです!)、興味を持ち本書も購入しました。だったら早く読もう

 

本書では、現状様々な課題を抱える日本社会について、欧米と日本の在り方についてを各々のルーツから区分けし、さらに発達するテクノロジーの今後の活用、そして日本社会の課題克服のためにどうすれば良いのかという点を独自の視点で描いています。

最近話題の自動運転や、次世代通信システムの5G最新のテクノロジーの展望や具体的な活用方法なども書かれており、IT音痴ながらにワクワクさせられる内容がてんこ盛りでした。

 

日本再興に向けて、地方自治強化などの主張も本書でされてますが、歴史における統治スタイルなどからその妥当性を丁寧に描かれており、非常に読みやすく感じられます。

そのほかにも教育についてなども具体的な指針を示されており読み応えもあります。

 

日本の現状を「チャンス」と捉える

 特に現状の日本社会の課題を考える上で少子高齢化は重要なキーワードだと思います。

世界的な課題となりつつある少子高齢化、その中でも日本は他の先進国と比較してより深刻な問題となってます。

 

最近ではこれまたベストセラーとなった「ライフシフト」(リンダ・グラットン著)で改めて人生設計を考えさせられた方も多いかと思います。

二人に一人が100歳を超える、すでに人口が減少している日本においてはその対策が死活問題と言えます。

 

医療費、介護、労働力不足…少子高齢化が抱える問題は多岐に渡ります。

そんな少子高齢化が世界一進んでしまっている日本を落合氏は本書で次のように書いています。

人口減少と少子高齢化はこれからの日本にとって大チャンスなのですー 日本再興戦略より抜粋

あくまでも本書は「再興」について記しています。

世界一少子高齢化が進む日本は、機械化も進めやすい、諸外国に先駆けて対策に取り組めるチャンスに溢れた国であると述べています。

本書において、個々のミクロ的な問題はともかくとして日本という国の先行きをネガティブに考えるような記述は見当たりません。

落合氏自身が真に明るい未来が日本にある、その土台としてテクノロジーやこれまでの日本の文化が存在していると確信しているように感じられます。

 

とかく課題多き我が国において、悲観論や陰謀論に近いような書籍も昨今増えてきているような気がします。そういう本も気になって買ってしまう笑

そんな中にあって、様々な分野で活躍する落合氏がこのように日本の未来について論じているのを読むと、前向きな気持ちになり、その中で自身に何が出来るか考えさせられます。

 

「拝金主義」となるなかれ

個人的に本書においてもう一つ、非常に考えさせられた箇所がありました。

今の日本人は、お金を過度に気にするあまり、大きな自己矛盾を抱えています。今の日本が持っている「内なる拝金主義」は大きな問題です。ここから抜け出さない限り、士農工商などの「価値を中心としたパラダイム」には戻れません。ー日本再興戦略より抜粋

本書において、江戸時代に存在した士農工商の重要性を再三説かれています。

官僚や役人の「士」、百姓(農業以外にも様々な生業を行う人)の「農」、職人の「工」、そして現代では金融機関などに代表される「商」です。

そして上記の記述通り、現代ではこの「商」の部分、つまり金融機関やお金への依存があまりに強すぎるというのです。

特にクリエイティブで価値あるものを生み出す人こそが評価されるべき世の中において、程遠い存在である「商」と、そしてお金に過度に執着していると論じています。

 

自己紹介でも述べさせていただいている通り現在も金融機関に籍を置く私としてはかなりショッキングな内容でした。

しかし氏の主張は痛いほど納得できてしまいます。

 

もちろん現代、そして将来的にも金融機能が社会において重要な役割を果たしていくことに議論の余地はないかと思います。

しかし、「商」の人間は決して新しいものを生み出しているわけではありません。(あえて言えばデリバティブ商品は画期的な発明ですが)

また、バブル崩壊リーマンショック、ミクロ的に見れば直近のスルガ銀行の不祥事など金融が生み出してしまった負の側面も少なくありません。

フィンテックなどテクノロジーが発展し、お金の考え方も変わりつつある現代において、これまでのような価値を「商」は持たない、あるいは持つべきではないのかもしれません。

 

もちろん、私自身も現在そうですし同じく金融業界に属することを批判するつもりは毛頭ありません。

個人で生活する上で、また企業経営においても金融機能は間違いなく意味もありますし今後も形を変えながら残り続けると思います。

しかし、変化を必要とする現代において、今自分に何が出来るか、このまま今の仕事を続けていくべきかどうか、という点は非常に考えさせられました。

 

自分は何が出来るのか?

とこのように個人的にも非常に考えさせられ、読み応えがある内容でした。

内容は述べたように非常に前向きであり、読みながら自分を省みさせられ非常に面白かったです。

 

…とここまで書かせていただいたように、本書を読み改めて危機感を感じ改めて以前よりやっていたプログラミングの勉強に力を入れています。前回転職する気ないと書いたのに笑

もちろんすぐに転職してどうこうという気はありませんが、クリエイティブなものが求められる時代、また簡単に始められる時代にあって学んでいかないことは非常にもったいないと感じる次第です。

 

とりあえずはprogateでhtmlやjavascriptなどを触ってレベル86に。

並行して買った書籍でゲームアプリを作ってみてるところです。今後は実際にできたものも載せたいなぁ。(願望)

日々前進あるのみですね、ではまたの日に。

【雑記】オーダーメイド枕初日が超快適だった件

快適な安眠生活!

というわけで今日は趣旨を変えて昨日買ったオーダーメイド枕が快適だったためテンションが上がったのでそちらの話を少し。

1年くらい前から本屋に行くと「睡眠術」やらの本を多く見るので睡眠に悩まれている方も多いのではないでしょうか。

日本人は世界の中でも平均睡眠時間が少ない国というデータを以前見たのでやはり関心は高いのかなあと思います。

 

かくいう私も睡眠にはよく悩まされていて、

・寝覚めが悪い

・いびきがうるさい(らしい

・夜よく目覚める

・寝付けない日がある

・朝起きると体がバキバキ鳴る

・etc...

とよく聞くような悩みに頭を抱えていました。

特に最近は寝付けない日も多いので、評判の睡眠用アプリを使ったり、サプリを飲んだり、その他ネットにある睡眠法を試してはみても正直効果はイマイチ・・・。

 

さらには肩こりもひどくなっていく有様で、「もう新しい枕を買うしかない!」と決意し以前より気になっていたオーダーメイド枕を買うことにしました。

元々マットレスエアウィーヴ製の「和匠」を使って気に入っていたのですが、枕に関しては適当に買っては合わずに新しいものを買うのを繰り返してきてました。

「どうせ買うのであれば長く使えるものを!」と心機一転して買いに行ったわけであります。

店頭測定、そして体験

というわけで近所にある「じぶんまくら」様へ。

店頭でオーダーメイド枕を探していることを伝えると早速測定していただけました。

 

「お客様の場合は首の部分が高いのでかなり高さがある枕じゃないと厳しいですねー」

と測定後すぐに店員さんに言われる。

特に枕のポイントは「高さ」であり硬さなどは好みの側面が多いなど、知らないことも多く勉強になりました。

 

そしてそのまま体験に。

「これが測定結果の高さですねー」

と店頭にある板で高さ調整をしていただくと息苦しさもなく非常に快適に!

そこから板を抜かれると一気に息苦しくなりました。笑

実際に体験しながら枕の重要性を認識できるので非常に面白かったです。

仰向け、横向きとそれぞれ体験できるのもよかったです。

 

体験が終わったらそのまま実際のオーダーメイド枕作りに。

オーダーメイド枕のプランは金額に応じて3種類あるとのことだったので自分は真ん中の2万5千円のプランに。

上2つのプランは、購入後いつでも店舗でメンテナンスして高さ等調整できるということだったので体型が変わっても安心!主に横方向に笑

プランが決まったら中材を入れて微調整していきます。この中材も硬いやつなど自由に選べるということでしたが今回は初めてなのでベーシックなやつにしました。

 

とこんな流れで自分だけのオーダーメイド枕を購入!

実際に体験できるので思わず欲しくなってしまいます。一緒に体験したマットレスも欲しくなった笑

一夜明けて

というわけでワクワクしながら昨日帰宅。興奮して寝れなくなったらどうしよう笑

結果はタイトル通り!

すんなり眠れて途中起きることもなし、寝起きもバッチリでした!

特に肩こりは日中もすっきりしており、普段ひどかったんだなあと改めて実感する結果になりました。

 

まだ初日なので時間を置いて改めて使い心地などを書き残せればなあと思ってますが、あまりの興奮に思わず書いてしまいました。

寝具が整うと寝るのが楽しみになる、ということを改めて感じさせられました。

眠りのお悩みの方は是非一度お試しあれ!

ではまたの日に。

【書評】「転職の思考法」現代で働く考え方を学ぶ

いかにして「働く」べきか?

世間では「働き方改革」がクローズアップされ、高度経済成長期より続いてきた大量生産や長時間労働からの転換期を迎えている現代。

また、一方で人生100年時代などとも呼ばれ、年金受給も繰り下げが検討されるなど人生設計も大きく変わりつつあります。

多くの方が、「働き方」ということに対して様々な考え方をされていることかと思います。

 

また、これから社会に出ようという学生の方々も、就活ルール撤廃について議論がなされるなど変化が激しい中で不安をお持ちの方も多いことかと思います。

かく言う私も偉そうなことは言えず、学生時代は勉強らしい勉強もせず、将来のことは現実逃避してB級映画を見続けるという恥ずかしい日々を過ごしておりました。笑

 

しかし、変わりゆく日本社会、その中で働いていく上で、この変化をしっかりと見極め、対応することこそが何よりも大切なことかと思います。

そして、今回紹介する書籍も、その働き方の一つである「転職」にフォーカスしたこちらの内容です。

 

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

 

 「転職の思考法」ー転職は「悪」?

という訳で今回こちらの「転職の思考法(著者:北野唯我)」が非常に面白かったため紹介いたします。

実はこの書籍は何となく面白そうと思って買った前2冊とは異なり知人から勧められて買ったものです。

ですので、私がすごく転職したいという訳ではないので念のため。笑

 

 本書の著者の北野氏は博報堂ボストンコンサルティンググループを経て、現在就活サポートを運営している「ワンキャリア」に参画し「職業人生の設計」の専門家として名を馳せている人物です。

冒頭記載の通り変わりゆくある日本社会ですが、一方でそうしたキャリア設計の現場に携わる著者は本書で次のように述べています。

現代は、二人に一人が転職する時代ですが、いまだに「転職の話を社内ですること」はタブーとして扱われることが多いのも事実。この本を通じて成し遂げたいのはまさにこの「タブー」の破壊です。ー転職の思考法より抜粋

実は私も同じ金融業界ながらに数年前に転職を経験したことがあります。

幸い円満に退職することができましたが、やはり転職を決めて話をしたときには後ろ向きに受け取られることが少なくはありませんでした。

 転職を「悪」とみなす、この文化は多かれ少なかれ残っているのかもしれません。

 

本書の特徴は、「転職」にベースを当てているものの単なるハウツー本に留まらない点にあると感じます。

タイトル通り「思考法」に焦点を当てているため、「転職」というテーマを基準に現代で働く上で一社会人として何を重視すべきであるかを描いています。

ですので知人が私に紹介したように、転職を考えている人はもとより、働く上で悩んでいる人、またこれから社会に出る学生の方など様々な人に気づきをもたらす内容となっております。

 

転職して数年が経つ私ですが、転職時の判断は振り返っても間違ってはいなかったなぁと思います。

ただ一方、転職する前に本書と出会っていたら、果たして同じ選択をしたであろうか。

ついしんみりと考えさせられる内容です。

 

本書の構成は特徴的で、転職をテーマに物語形式で話は進んでいきます。

主人公は印刷業界で営業職をしている30歳の男性。

現状の仕事に漠然と不安を感じながら日々を過ごしていきます。すごい共感笑

そんな中、著名のコンサルタントと出会ったことが大きな転機となり転職を志す、非常にシンプルな内容だからこそ思わず読み入ってしまいます。

 

自分の市場価値を求めて

このシンプルな物語の中に多くの気づきや学びが得られます。

その中でも特にためになったと感じた点、それは全編通して描かれている自らの市場価値、「マーケットバリュー」についての考え方です。

マーケットバリューがある人間には、自由が与えられる。好きなときに会社を辞めることができるし、好きなところで働くことができる。・・・中略・・・ マーケットバリューは①技術資産、②人的資産、③業界の生産性の三つで決まる。ー転職の思考法より抜粋

 すなわち「専門性」や「経験」などの技術を高め、人との交流を深め、そしてその業界自体が盛況な場合自分の「マーケットバリュー」が最大限に高まるという教えです。

 本書では、この「マーケットバリュー」についてをより詳しく解説し、現代で働く上での指針を示してくれます。

 

個人的には他の項目ももちろんですが特に業界の生産性については改めて気づかされる内容となりました。

特にこれまで終身雇用が基本であった日本社会において、転職をしたとしても以前と同じ業界内で転職したという人も多いのではないでしょうか。(私はそうでした。)

しかし、自分の「マーケットバリュー」を考える上では、ときに業界を超えて行くことも考えるべきであるというのは至極最もであると感じられたのです。

 

特にバブル期以降決して好況とは言えない日本社会。

人口とともに経済も縮小する中で斜陽産業と呼ばれる業界も増えてきているように思います。

そうした世の中であるからこそ、その中で規模を拡大している業界に身を移し市場価値を高めていくという考え方は今後ますます意味を持つように思えます。

 

特に私もそうでしたが転職をすぐに考えている人の場合、現職に対して何かしらの不満を持っていることが多いため、なかなか冷静に判断をつけられないケースも多いかと思います。

そうした中で本書は、転職におけるブレない判断軸を示してくれるため、現代社会で働く上での「教科書」と表現して良いかもしれません。

 

 転職という「選択肢」を持つ

もう一つ、これは私自身転職をしたからこそ非常に共感できた一節があります。

「その日はじめて彼は言えたんだよ。理不尽な上司に、ノーとな。『会社を辞める』という選択肢を手にしたからだ。」ー転職の思考法より抜粋

自分の弱さを打ち明ける主人公に対して、コンサルタントの黒岩が諭した際のセリフです。

職場で何も行動が出来なかった若者が、辞表を用意したことで変われたことを語ります。

すなわち、人は今いる会社という居場所から離れられない、辞められないという風に思い込んでいるだけであると。

 

これは私自身も経験したことがあり、まさにその通りだと思わず唸っていました。 

 特に、転職が後ろ向きに捉えられがちな現代では、どうしても辞められないという先入観に縛られてしまいがちだと思います。

私も、辞められないと思いながら仕事をしている時は、「どうすれば成果が出せるか」焦りや苛立ちが募るばかりの日々を過ごしていました。

息苦しく感じられるような日々を過ごす中で、実際に転職という「選択肢」を選ぶことを決めた時は、スッキリした気持ちになり仕事も前向きに取り組めるようになっていました。

 

本書でも書かれていますが、必ずしも転職が正解であるというわけではないと思います。

ただし、日々仕事をする中でも「選択肢」を持つこと、これが自身を前向きにする原動力になり得ると思います。

 

そんな「選択肢」を持つための判断軸をもたらしてくれる、本書は正に転職市場がますます盛り上がっていく中での道しるべであるといえます。

ではまたの日に。

【書評】「マスコミ偽善者列伝」痛快一刀両断集

「言いたいことも言えないこんな世の中で」

こんなタイトルをつけながらドラマ版GTOがもう20年も前の出来事であるということに驚きを隠せないらららベイです。

私と同年代の方であればおそらくはGTO主題歌「poison」のこのフレーズはすぐにピンとくるのではないでしょうか。

主人公鬼塚の年齢を優に超えてしまったことを考えると非常に憂鬱な今日この頃。笑

 

脱線しましたが、謙虚さを美徳とする日本社会においてこのフレーズは、現在に至るまで多くの方に共感を覚えさせるのではないかと思います。

かく言う筆者も引っ込み思案のため人前ではっきりと物事を言えない始末。

ただ一方で歯に衣着せぬ物言いを聞くと、憧れに近いような感情を抱くこともしばしばあります。

 

「マスコミ偽善者列伝」ー信念を感じさせる痛快批評

 

マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々

マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々

 

 そんな私が今回思わず手にとったのがこちらの「マスコミ偽善者列伝(著者:加地伸行)でした。

そのタイトル通り、本書はマスコミでよく見る政治家や経済評論家等、著名人を対象に長く中国哲学史を専門とされていた著者の加地伸行大阪大学名誉教授が「教育」「憲法」等のテーマに基づき批評している。

その様は正に痛快」の一言です。

 

 主だった批評の対象が政治家やマスコミ関係者になるので、必然的に内容に政治的な要素が多分に含まれる点はご注意いただきたいです。

また、長くアカデミックの世界で論文等書かれていたからか、文体や言い回しなどは昔ながらの印象があり、若干読みづらく感じる部分もありましたが、論じるに当たり常に断言するその表現は本書最大の魅力でもあると思います。

 

個人的に特に共感したのが、平成25年の特定秘密保護法案反対デモに対してのこの一節。

「絶対反対」と称した以上、法案成立後も反対運動を続けるべきではないのか。国会周辺において絶対反対のデモをずっと続けるとか。・・・中略・・ ・法案が成立したからデモはやめて終わりでは情けない。ーマスコミ偽善者列伝より抜粋

 正直不勉強につき特定秘密保護法案について概要は知っていてもその是非について論じるほどの知識は筆者にはありません。

しかし、この「反対し続けるべき」という主張は納得できますし、こうして断言する論調には説得力を感じざるを得ません。

 

こうした徹底した批評もさることながら、その主張を組み立てる根拠も非常に勉強になります。

特に「憲法」や「国民国家のあり方」などは過去の歴史に基づき論じられており、こうした分野に対しての理解が自分にはまだまだ足りていないと感じられ非常に学びの多い書籍となりました。

 

「主張すること、批評すること」の大切さ

本書の魅力について述べてきましたが、もちろん全ての内容に諸手を上げて賛同するという訳ではありません。

中には「どうかな?」と思うような主張もありましたし、おそらく読まれる方によって気になる点は人それぞれではないかと思います。

 

例えばアメリカの国力について論じる一節。

アメリカは、世界第一位の工業国であると同時に、世界第一位の農業国であり、最近ではそれに加えて、エネルギー源を自国地下から得て自給自足が可能。・・・中略・・・これが世界最強国の大要素となっているのである。 ーマスコミ偽善者列伝より抜粋

 確かにアメリカと比較して人口増が与える影響力から、中国などでは食料生産が今後の大きなリスク要因として懸念されているのは事実です。

ただし、アメリカ自身も食料自給率が高いとは言え、世界最大の食料輸入国であるという事実も見過ごせません。

もちろん、諸先進国の中で食料生産力が高い国であることは間違いありませんが、やはりアメリカの強さはそれに加えて人口や経済力、さらに世界で最も流通している米ドルという通貨基盤(仮想通貨の出現により変化が起きる可能性がありますが)といった要素が複合的に重なって今の地位にあるものと考えます。

 

このように、各々の意見に対して色んなことを読みながら考えられるのも本書の魅力だと思います。

そしてまた、批評される人々も様々な意見を発信しているからこそ、こうした気付きを得られるものなのだと感じさせられます。

老生に叩かれたと泣き言を垂れるな。無視されるよりはましと思え。ーマスコミ偽善者列伝より抜粋 

著者もこのように冒頭で述べており、「無視」されてなにも議論が起きないよりは「批評」されて議論として発展させることの大切さを痛感させられます。

 

非常に独特で、ある種「クセ」のように感じられる著者の主張、出る杭は打たれる様な側面が強い現代であるからこそ面白く読めてしまうのではないでしょうか。

それではまたの日に。

【書評】「学びを結果に変えるアウトプット大全」アウトプットが足りないと感じる全ての人々へ

あなたはアウトプットできているか?

この問いかけにはっきりyesと言える方は少ないのではないでしょうか。

私ははっきりnoと答えられます。

 

おそらく、この問いかけの回答がnoとなってしまった方でも「何かアウトプットしなきゃ」とお思いの方も多いのではないでしょうか。

何を隠そう私自身がそう漠然と感じながら本屋に行った時にある本と出会いました。

 

「学びを結果に変えるアウトプット大全」ブログ開設のきっかけ 

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

 

というわけで第1回目の書評は、前回のブログ開設のきっかけとしてご紹介させていただきました「学びを結果に変えるアウトプット大全」(著:樺沢紫苑)でございます。

 

著者の樺沢先生は、精神科医としてご活躍されるかたわら執筆活動をはじめ様々な、文字通りアウトプットをされている方です。

私も以前にこれもベストセラーとなった「覚えない記憶術」を拝読した経験があり、こちらも非常にお勧めできる内容で非常に読みやすい文章を書かれる方です。(タイトルに興味を持ったら是非!)

とは言っても、こちらの書籍、樺沢先生が著者であるから買った、というよりはタイトルに興味を持ったから手に持って見たら樺沢先生の本だった、というのが正直なところです。

 

タイトルにもある「アウトプット」こそが本書を読むきっかけ、さらには今回ブログを開設するきっかけとなったキーワードとなります。

本の概要−アウトプットに何ができるのか

上の見出しに対して少しでも引っ掛かる部分があると感じられる方は是非一度本著を読んでいただくことをお勧めいたします。

私も上に書いてあるようにこの「アウトプット」については全くと言っていいほどできていなかったように思い、気付いたら一気に読み進めてしまいました。

 

インプットとアウトプットの平均的な比率は7対3ー著書、学びを結果に変えるアウトプット大全より抜粋

実際に感じている印象通り、やはり学生、社会人問わずインプット偏重の人の方が圧倒的に多いようです。私は絶対3割もアウトプットしていない…笑

一方で、

インプットとアウトプットの黄金比は、3対7ー著書、学びを結果に変えるアウトプット大全より抜粋

と書かれており、コロンビア大学で行われた実験などに基づきアウトプットの重要性を説いています。

 

本著ではこのようにアウトプットがいかに脳科学的に重要であるかという点についてを、実験結果などに基づき論理的に書かれており、また樺沢先生自身がどうやってご自身の膨大なアウトプットを実践されているかについて述べられております。

 

また、実際に社会人の場合であれば如何にこのアウトプットを実務に活かすか、プレゼンや部下のマネジメントなどの例を出し解説されております。

どんな仕事であっても、コミュニケーション、そしてそれに伴うアウトプットは欠かせないものであるため、非常に多くのビジネスパーソンにとって気付きの多い書籍となっております。

 

教えるという「最強の」アウトプット

本書は具体的なアウトプットの手法を実に80種にも分けて、読者に実践のポイントなども交えながら分かりやすく解説しております。

その手法の中で一つ、私も「確かに!」と思わされたのが、

最も自己成長につながる「最強のアウトプット法」をひとつだけ挙げると、それは「教える」ことです。ー著書、学びを結果に変えるアウトプット大全より抜粋 

という一文。

本書によるとアメリカ国立訓練研究所の研究においても、この「教える」ことによる記憶定着率の高さは実証されているようです。

 

私も金融関係という仕事柄、金融商品や各種制度に関する講師を務めてプレゼンする機会に恵まれている関係上非常に強く共感する内容です。 

もちろん単純な伝え方も考える必要がありますが、教える上で何よりも大切なことは「自分の中で腹落ちする」ことが大前提であると日々考えています。

金融商品であれば、「この商品の一番のポイントは何なのか」「注意すべきポイントはどこなのか」、こうした項目を自分で十二分に理解していないと、伝えることはままなりません。

 

このように自分の仕事や日常に共通するような「アウトプット」が盛り沢山の内容となっており、少なからず「確かに!」とほとんどの方が思われる内容で理論が整理されていくのを感じられます。

確かな一歩目を歩き出すきっかけに

この書籍の魅力は、様々なアウトプットの手法を学ぶことができるとともに、共感できる部分も多く「自分にもアウトプットが実践できるのでは…」と思わせてくれる点にあると感じております。

著者の樺沢先生のように膨大なアウトプットは難しくても少しずつ、正にこのブログのようにアウトプットの初めの一歩を後押しさせてくれる「希望」のようなものを感じさせてくれます。

 

アウトプットが難しい要因の一つとして、その第一歩目が踏み出しづらい点があるかと思います。

当然手間もかかりますし、人に見せるものであれば批判に晒される可能性もゼロではありませんから二の足を踏んでしまいがちです。(私が正にそうです)

本書はそんな悩みを抱える方にも、「それでもやってみよう!」と感じさせる点が個人的に非常に魅力的だと感じ、実際にブログを書き出した次第です。

 

本書においても様々な手法が紹介されておりますが、ひと昔前と比べこうしたブログやSNSなど個人で様々なアウトプットが簡単にできる時代になったと思います。

おそらくはこの書籍に紹介されている以外にも様々な手法があることでしょう。

そう思うと、「一歩目を踏み出さないのはもったいない!」と思わず思ってしまうことでしょう。

 

本書は構成も非常に読みやすく、あっという間に読み終えても繰り返し内容を確認したくなる非常に面白い、そして個人的にも思い入れ深い一冊となりました。

是非「アウトプット」に悩まれている方は、その一歩目を踏み出すきっかけとされてはいかがでしょうか。

 

ではまたの日に。

元活字嫌いの書評ブログ、始めてみました

決意表明

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臆病、人見知り、怠惰…そして何と言っても元活字嫌いな私らららベイと申します。そんな訳で、こうして人様にブログを公開するというのも大変緊張しっぱなしな現状でございます。そんな私がどうしてブログを始めたのか…理由はいくつか挙げられるのですが、最も大きい要因として直近読んだ書籍「学びを結果に変えるアウトプット大全(著樺沢紫苑)」を読んだことがあります。樺沢先生の著書は以前にも拝読していたのですが、今回本著を読み改めて公衆に「学びを発信していくこと」の大切さを痛感したことが発端となります。臆病、人見知りな私ですが、一方で好奇心や自身の成長については貪欲であると勝手ながら自負をしております。

非常に貴重な気づきを得られたにも関わらず、行動に移さないのは本に対して失礼であると思い、勇気を振り絞ってブログ開設に踏み切った訳でございます。

活字嫌いからの脱却

記事のタイトルにもあるように、学生時代より非常に活字が苦手…というよりも本を読むのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。「漫画大好き、本は嫌い」をモットーに大学生の頃に読んだ本といえばゼミの研究書籍くらいしか読んだ記憶がありません。笑

そんなこんなで社会人となったはいいものの苦労の連続…これまでの勉強不足がたたり知らないことだらけでどうにかしなければという焦りばかりが募る毎日を過ごしていました。「本でも買って勉強しなきゃいけないのか…いや、でも…」と悩んでいたことも昨日のことのように思い出せます。笑

結局打開策も見当たらないので本屋で普段行かない漫画以外のコーナーで、世界情勢や一般常識についてなど様々な本を見て回りました。最初は「文字いっぱいあるよ、嫌だなあ」などと嘆いてばかりであったのですが、色々見て回ると「あれ、これは分かりやすいな」「こんなこと書いてある本もあるんだ…」と徐々に興味を持つように。「ひょっとしてわかりやすい本から勉強すれば楽しいのではないか」と思い買い始めたらあれよあれよとハマっていきあっと言う間に今日を迎えました。今では毎週1回以上は本屋に出没し、色んなコーナーをウロウロするほどの本好きとなりました。笑

そんなこんなで是非私自身も感じた、本に触れる、本を読む楽しさという面を存分に発信できればと感じております。基本的にビジネスや経済関連の書籍を中心に読み漁っていますが、その他にも気になったり興味を持って読んだ書籍を、自身の振り返りとともに紹介していきたいと思います。

当ブログ方針

現在週に1冊以上のペースで本を読むようにしているので、週1度以上はブログも更新していきたいと考えております。週2冊以上買ってるため常に積ん読状態…

何分始めたばかりのため、最初は不定期更新を予定しておりますが、感覚も掴めたら定期更新にしていく予定です。

基本的には書評等をメインにしていきますが、その他個人的に勉強中のプログラミングのことであるとか、趣味(ゲーム・海外ドラマ等)についての紹介、その他最近思うことなどについても発信していきたいと思います。

学生の読書時間が減っているなど活字離れも叫ばれておりますが、自分も読書と縁遠い学生生活を送っていたため非常に共感できる面があるかと思います。しかし、そんな自分だからこそ、「読書の魅力」というのも表現できるのではないかと思います。

「今日の自分が一番若い」

聞いたことがある言葉で、どなたの言葉かは存じ上げませんが正にその通りだと思っています。学び、気付き、成長できる読書の魅力を、若輩者であり拙文かとは思いますが思うままに書いてまいります。

では、またの日に。