【書評】「amazon」誰もが関わる帝国の実態

テクノロジーによる生活の変化

このところテクノロジー、特にAIが注目される機会が特に多くなったように感じます。

テレビのニュースしかり、雑誌や書籍しかり。

 

個人的にも小さい頃ロボットや空飛ぶ乗り物なんかに憧れを持っていたことを思い出します。

確かに子供の頃思い描いていたような未来には進んでいないかもしれませんが、しかしこのテクノロジーによる生活の変化というのはある種それ以上のものがあるのかもしれません。

 

 

amazon 世界最先端の戦略がわかる

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 amazonー巨大帝国はいかにして生まれたか

その生活の変化の正に一番手を担ってるのが、本書でクローズアップされているアマゾンであることに疑問を持つ人は少ないのではないでしょうか。

思えば私がその存在を知ったのは中学生の頃、インターネットの普及が今ほどされていない時代には「そんなことをしてる企業もあるんだー」といった印象でした。

しかし、今となっては私も立派なアマゾンユーザー、多くの日本人、そして世界中の人々にとってなくてはならない存在にまでなっています。

そんなアマゾンという企業がいかにして生まれたか、またこの企業の行く末に人々にどんな未来が待っているのかを本書では丁寧に描かれています。

 

著者の成毛氏は若い頃にマイクロソフト日本法人の代表を勤められた正にIT業界の実力者。

その方が語るamazonの脅威には説得力が詰め込まれています。

 

同じIT企業として知られるアップル、グーグル、フェイスブックとともにその頭文字をとって題された「the four GAFA」(著:スコット・ギャロウェイ)ではこれらプラットフォームとなった企業たちがもたらす脅威を描かれており、こちらも世界に何が起こっているのかというのを知る上で非常に興味深い内容でした。

しかし、本書でも書かれている通りアマゾンはその中でも一目置かれる存在であるのではないでしょうか。

 

アップルに続いて史上二番目の時価総額1兆ドルを達成したアマゾンが今後どうなっていくのか。

誰もが注目するこの企業について、「この一社さえ知ればいい」とする本書の帯の文句に正に偽り無しだと読み終わって感じます。

 

赤字でも成長し続ける帝国

上述した通り本書ではアマゾンがこれまで取り組んできた事業について分かりやすく解説がされています。

当然メインとなるeコマース事業については小売業界が縮小していく中での圧倒的な成長率とそれを果たした要因について。

その他いまやアマゾンの利益を生み出す基盤となっているクラウド事業AWS、動画コンテンツなどを手掛けるアマゾンプライム、物流網を確保し実際に顧客まで届ける配送業、実店舗を持ち簡潔に支払いまで済ませる「Amazon Go」etc...

このようにアマゾンはその成長力を背景にありとあらゆる事業を手掛ける企業になっていることを本書を読んで改めて痛感させられます。

 

こうした巨大企業となったアマゾンについて、CEOのベゾス氏はアマゾンは「ロジスティクス企業」であると述べております。

ロジスティクスとは日本語では兵站である。兵站とは、戦場で軍の活動を維持するために必要な軍需品や兵のことであり、これらを前線に送るためのルートを確保すること、つまり物流網を持つことだ。ー中略ー国家の枠を超えた超国家的存在になり、いまだに膨張を続けるアマゾンは21世紀のローマ帝国といえるかもしれない。ネット通販もクラウドサービスもAIスピーカーもすべてのITという道はアマゾンに通じているのだ。ーamazonより抜粋

キャッシュフロー経営という独自の理論に基づき利益度外視に成長を続ける、このアマゾンの有り様は正に帝国と呼ぶのにふさわしいかと思います。

物量に基づき他を圧倒し、様々なビジネスにチャレンジし続ける、そのあまりに独特な経営手法に感心するとともに多くの業界が奪われるのではないかという末恐ろしさも同時に感じます。

アマゾンが本気になればどんな業界でもその物量の前にひれ伏してしまいかねない…もしかしたらそんな未来が日本社会にも訪れるのではないかと思わされます。

 

アマゾンがもたらす未来の世界

本書ではアマゾンのこれまでの凄まじい成長の軌跡とともに、今後のアマゾンがもたらすであろう世の中についても書いております。

中には空中倉庫を活用してのドローン配送についてなど、夢物語に感じられる内容ですらこれまでのアマゾンが実現してきた世界を見渡すと信じさせられてしまいます。

 

奇しくも19日のネット記事で、ベゾス氏がアマゾン社員に対して「いつかアマゾンは潰れる」と発言していたことがわかりました。

時代の変化、テクノロジーの進歩からこれからも第2、第3のアマゾンが生まれてくる可能性も否定できません。

それを理解し、危機感を持ちながら新たなビジネスにチャレンジし続ける、それこそがアマゾンを巨大帝国とした原動力となるのかもしれません。

 

私も一個人ながら、あらゆる環境が変化し続ける現代において成長を続ける必要性があるとアマゾンのことを学びながら感じました。

それではまたの日に。